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2026/07/10

2026年中東情勢の中小企業への影響実態調査

株式会社エフアンドエムが運営する中小企業総合研究所によるレポート


中東情勢の緊迫化は、原油・エネルギーや海上輸送、各種素材の供給網を通じて世界経済に影を落としています。日本国内においても、エネルギー・燃料費や原材料価格の上昇、物流の遅延といった形でその影響が及び始めており、もはや一部の輸出入企業に限られた論点ではなく、幅広い業種の経営に共通する前提条件となりつつあります。

とりわけ中小企業では、コスト上昇分の価格転嫁や調達先の確保といった対応において、大企業と比べて選択肢や交渉力に制約を抱えやすいのが実情です。
本調査は、こうした環境変化のなかで中小企業が中東情勢の緊迫化からどのような影響を受け、どのように向き合おうとしているのかを把握し、今後の経営判断や支援策の検討に資する基礎的な情報を整理することを目的として実施しました。

1.調査結果

本調査は、エフアンドエムクラブ会員企業を対象にアンケートを実施したものである。調査期間は2026年5月1日から5月31日、有効回答数は2,611社。設問内容に応じて単一回答および複数回答を設定しており、未回答は集計対象から除外している。

中東情勢の緊迫化による影響は、すでに中小企業全体に広がっている。何らかの影響または懸念を示した企業は9割超、すでに影響を実感している企業も約7割を占め、運輸業では燃料費、製造業・建設業では資材の調達難と、業種ごとに異なる形で表面化している。

影響の中心はコスト面にあり、原材料・仕入れ価格の上昇とエネルギー・燃料費の値上がりが二大要因となっている。加えて、ナフサ由来資材(シンナー・塗料・潤滑油など)の入手難や納期長期化など、価格だけでなく「モノが手に入らない」供給面の影響も顕在化している。

影響の広がりに対し、対応は追いついていない。対策に着手・検討している企業は約4割にとどまり、約3割が「何をすべきかわからない」と回答した。自由記述でも、打ち手を見いだせないという趣旨の声が目立つ。
対策を講じる企業では販売価格への転嫁と調達先の多様化が中心となる一方、公定価格に縛られる医療・福祉のように転嫁が難しく、在庫確保などの守りに回る業種も見られる。

政府等の支援は、物価高騰支援金や燃料助成金を活用する企業がある一方、「制度の負担が想定より重い」との声もあり、活用状況には差がある

2.まとめ

中東情勢の影響は、業種を問わず全体に拡大
本調査からは、中東情勢の緊迫化が一部の輸出入企業に限らず、中小企業全体に共通する経営前提となりつつある実態が明らかとなった。何らかの影響または懸念を示した企業は9割を超え、すでに影響を実感している企業も約7割に達している。その経路は原材料・仕入れ価格の上昇とエネルギー・燃料費の値上がりというコスト面に集中しており、運輸業では燃料費、製造業や建設業では資材の調達難が前面に出るなど、業種によって現れ方は異なる。中東という地理的に遠い地域での事象が、供給網と価格を通じて国内の幅広い業種に波及している。

影響の広がりに、企業の備えが追いつかない
注目すべきは、影響の広がりに対して対応が追いついていない点である。対策に着手・検討している企業は約4割にとどまり、残る約6割は「特に予定はない」または「何をすべきかわからない」と回答した。
自由記述でも「対策の打ちようがない」「代替品が見つからず作業ができない」といった声が寄せられ、影響を感じながらも有効な手を打てない企業が一定数存在することがうかがえる。
さらに、講じられている対策は販売価格への転嫁と調達先の多様化が中心だが、ナフサ由来のシンナーや塗料、潤滑油など代替の効きにくい資材の入手難は、個社の努力だけでは解消が難しい。
公定価格に縛られる医療・福祉のように、コスト上昇を価格へ反映できず、在庫確保などの守りの対応に偏らざるを得ない業種もある。これらは供給網と制度に根ざした構造的な課題といえる。

個社努力に頼らない、重層的な支援が求められる
以上を踏まえると、中東情勢の緊迫化への対応を、個々の企業の自助努力だけに委ねるには限界がある。
第一に、打ち手を見いだせない企業に向けて、影響の把握手法や初動の選択肢を示す情報提供・相談機能の充実が求められる。第二に、代替困難な資材を扱う企業に対しては、調達先の分散や在庫戦略を支える資金面・情報面の支援を検討する余地がある。第三に、価格転嫁が構造的に難しい業種に対しては、転嫁を後押しする取引環境の整備や制度的な下支えが重要となる。
中東情勢の今後は見通しがたく、影響の長期化や再燃も否定できない。平時からの調達リスクの分散と、業種ごとの制約に応じたきめ細かな支援の備えが望まれる。

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