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2026/07/09

2025年慶弔見舞金制度の実態調査

株式会社エフアンドエムが運営する中小企業総合研究所によるレポート


慶弔見舞金とは、従業員の結婚や出産、家族の死亡、傷病、住居の被災などのライフイベントに際して、会社が見舞いや祝意を表すために支給する金銭制度です。法定義務ではないものの、多くの中小企業が福利厚生の一環として導入してきました。

人手不足が深刻化し、採用競争が年々激化する中、こうした制度の有無や水準が、求職者の企業選択に影響を与える要素の一つになりつつあります。しかし「いくら出せばよいのか」「他社はどうしているのか」を知る機会は、中小企業には乏しいのが現状です。また、従業員との距離が近い中小企業では、これまで個別の事情に応じて柔軟に対応してきた企業も多く、制度として明文化されないまま過去の慣例や社長判断で運用されているケースも少なくありません。

本調査は、エフアンドエムクラブの会員企業を対象に慶弔見舞金制度の実態を調査したものです。調査期間は2025年10月1日から10月31日、有効回答数は2,663社。従業員10人以下の企業が667社と最多を占め、中小・小規模事業者の実態をよく反映した調査結果となっています。なお、本調査では慶弔見舞金制度に加え、慶弔休暇の運用実態についてもあわせて把握しています。

1.調査結果

【調査対象】エフアンドエムクラブ会員企業
【調査期間】2025年10月1日〜10月31日
【有効回答数】2,663社
【従業員規模(最多)】10人以下(667社)
【主な業種】製造業718社、建設業645社、卸売業・小売業433社など

慶弔見舞金制度を何らかの形で導入している企業は約8割に達する。一方で、規程として整備されている企業は5割強にとどまり、制度の「あり方」には企業間でばらつきがある。

支給金額の相場は、結婚祝金が2〜3万円台、出産祝金・弔慰金(家族)・傷病見舞金は1万円台が最多であった。一方、本人死亡時の弔慰金は10万円以上と回答した企業が最多(43.7%)であり、他の種目と一線を画す水準感が示された。

本調査は2023年にも同様の調査を実施しており、前回調査との比較においても制度導入率・支給水準ともに大きな差異は見られず、慶弔見舞金制度は一定の水準で定着しているといえる。

自由記述では、子どもの入学祝金・成人祝金など独自の慶弔制度を設ける企業の声が多く、「社長のポケットマネーで対応している」「規程はないが実態として出している」といった中小企業ならではの柔軟な運営実態も浮かび上がった。

2.まとめ

本調査を通じ、中小企業の慶弔見舞金制度には「制度はあるが規程がない」「運用はしているが社員への周知が不十分」「金額は社長裁量で都度決定」という実態が広く存在することが改めて確認された。特に従業員数の少ない企業ほど、支給基準や運用ルールが明文化されていない傾向が見られた。限られた人員や予算の中で柔軟に運用しているケースもあると考えられるが、判断のばらつきや従業員間の不公平感、労務トラブルといったリスクにつながる可能性があることも認識しておく必要がある。

支給金額の相場は概ね前回(2023年)調査と大きな変化はなく、結婚祝金2〜3万円・出産祝金1万円台・弔慰金(本人)10万円以上という水準感が中小企業のスタンダードとして定着しつつある。ただし弔慰金については、家族の続柄によって大きな差があるため、規程上でその区分を明確にしておくことが重要である。

正規・非正規の取り扱いについては、現状は「非正規がいない」企業が多く問題が顕在化していないが、今後の雇用形態の多様化に備えて、非正規雇用者への適用方針を事前に規程化しておくことが望ましい。

慶弔見舞金は、単なる金銭支給ではない。従業員の人生の節目や困難な場面に、会社としてどう寄り添うかを示す制度である。採用や定着において福利厚生の重要性が高まる中、自社の制度が現在の従業員構成や価値観に合っているか、支給対象や金額が明確になっているか、従業員にわかりやすく周知されているかを、この機会に改めて確認してみていただきたい。

また、福利厚生制度は従業員満足だけでなく、求人への応募率や企業選びにも影響する重要な要素となっているため、慣例に任せるのではなく、社内で十分に話し合い、自社に合ったルールとして整備しておくことをおすすめしたい。

採用難が続く中、求職者が重視する働く環境の一つとして、慶弔見舞金をはじめとする福利厚生制度の整備・可視化の重要性は増している。エフアンドエムクラブでは労務の専門アドバイザーによる規程整備や制度設計に関するオンライン相談に加え、採用・求人の専門アドバイザーが、福利厚生制度を採用力向上につなげるための他社事例や求人での訴求方法を紹介している。自社の制度を見直す機会として、ぜひご活用いただきたい。

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